向こう側にあるストーリー

豊かさって何だろう

先日、星空の小さな図書館に、暮ラシカルデザイン編集室の新刊が届きました。

今回は、人気の房総カフェシリーズ第5弾。手触り感のある表紙、ページを彩る数々の写真。1冊1冊のつくりがとても丁寧で、新刊が出るたびに楽しみに読んでいます。

本の仕上がりはもちろんのこと、執筆も撮影も編集もさらに、販売まで自分でしているというのだから、すごい。最近では、勝浦朝市に定期的に出店しているそうなので、本人から直接購入したい場合は、ぜひ、足を運んでみてくださいね。

実は、著者である沼尻亙司さんこと、ぬまっちとは、ほぼ同じ時期に移住をしてきた移住仲間。勝浦市の地域おこし協力隊の最初に一人に採用された時から、その活躍はよく耳にしていました。年も近いこともあって、友人たちと一緒に食卓を囲んでは、お互いに近況を報告しあいつつ、時に弱音を吐いたり、励まし合ったり、切磋琢磨しながら前に進んでいたような気がします。

任期満了後、独立したタイミングで、最初の自費出版本となった『房総カフェ』を2014年12月に発行。 なんと、星空の小さな図書館のオープンと同じタイミングでした。

自ら本をつくり自ら販売する。ひとり出版社という今のスタイルになった記念すべき『房総カフェ』ですが、はじまりは予想もしていなかったことからだった、というのだから、人生って不思議なものです。

気付けば私達もこの地に根をおろし、10年。いろんなことが見えてきました。

彼も思うところがあって、最初の頃に数多く出版していた『房総カフェ』シリーズはしばらくお休みしていたそう。今回、約6年ぶりのシリーズということで、一体どんな内容になっているのかドキドキしながら読みました。

読んでみたら奥深かった。

ただその店のメニューや様子を紹介するのではなく、その向こう側にあるストーリーがなんとも奥深かった。

オープンしたばかりの新しいお店を紹介するのは、実はそれほど難しくない。でも10年、20年、はたまた40年続くお店を紹介する時、表面だけではなく、その奥底にあるストーリー触れるにはインタビュアーの力が必要。長らく付き合いのあるぬまっちだからこそ、このお話が聞けたんだろうな、と思わずにはいられません。

流行り廃りではなく、いっときのブームでもなく、もちろんそれは「映え」のためでもなく、そこに長く在り続けるためには、色々なことに葛藤しながらも、自分自身のスタイルを模索しながら続けている歴史がある。

そんな先輩方の芯のある思いの数々。それがめいいっぱい詰まった本でした。

私もシェアハウス10周年、図書館も8年、続けてきたからこそ共感できることが多かったのかもしれません。

カフェの楽しみ方は人それぞれだけど、多くの人に読んでもらいたいと思う1冊でした。

実は、そんな沼っちに、いつか取材されることが密かな目標。シェアハウスも図書館もカフェじゃないからなぁ、たぶん叶わないのだけどね。

タイトルとURLをコピーしました