6月1日は、古民家シェアハウス「星空の家」の誕生日。
2012年にシェアハウスを立ち上げた当初は、まさか、こんなにも長く続けられるとは思ってもみませんでした。
なにか自分の肩書がほしくて、なにか田舎暮らしっぽいことがしたくて、この古民家を借りたら、それが叶うかな。動機はそんな思いからでした。
空き家活用とか、地域創生とか、そんな話題がちらほら出始めた時だったけれど、正直、当時の自分は「なにかのため、誰かのため」というよりも、「自分のため」になることをやろうと決めていた。
いつも他人の顔色ばかりを伺い、周りの役に立つことばかりを考え、自分自身がどうしたいのかをあと回しにして生きてきた20数年間で、「なんだか違う」と、はたと気が付き、方向転換。移住を機に自分の考え方を見直そうと思い、1年が過ぎたころにやってきたチャンス。伸るか反るかは、自分次第。
最終的に自分を突き動かしたのは、『自分』が楽しいかどうか、でした。
自分で決めたことだから、言い訳はしたくない。そんな思いで、意志と覚悟を持って向き合ってきたら早いもので10年。
なんの経験も知識もないまま始めたけれど、流石に10年も続けていると、自信になります。「自分には何もない」と、ずっと思っていたけれど、最近はそんな思いもずいぶんと小さくなりました。
もちろん、私自身もずいぶんと変わりました。住み込みのシェアハウスの管理人から、民間図書館の館長へ。結婚を機にシェアハウスはでたものの、今も変わらず、関わり続けるとは、本当に想像もしていませんでした。
「続いている秘訣はなんですか?」よく聞かれます。 これをやったらうまくいく!なんて、そんな秘訣はないけれど、一つ思うのは、理想を持ちすぎなかったことかもしれません。
シェアハウスだから、こうあるべき。みたいな考えをやめました。
私の理想を押し付けることもやめました。
理想はあるにこしたことはないけれど、それがすべてじゃない。
ひとつひとつの答えは、その時その時で見つければいい。
もしかしたら、そんなゆるさが続いている秘訣なのかもしれません。
シェアハウスは、会社でもなければ、家族と過ごす家でもない。自立しながら支え合う、そんなゆるいコミュニティ。
「10年続けた先に見えるものが違って見えるよ」と、以前お世話になった上司に言われたことがありました。10年なんて続けられることあるかな、と思っていたけれど、今ならば、この言葉の意味がわかるような気がします。
同じ場所にいても、同じように見えても、見え方はどんどんと変わっていく。これからもその視点を忘れずにいよう。
この古民家の150年の歴史からみたら、まだまだちっぽけな10年だけど、これからもここに、変わりながらも変わらずに、在り続けたいと思います。