おじいちゃんの耕運機

日々のつぶやき

突然やってきた夏。まだまだ梅雨の気分でいた最中、やってきてしまった猛暑。連日の暑さが続いていたと思ったら7月に入った途端に梅雨が戻ったお天気続き。毎年思うことだけど、ずいぶんと季節がおかしくなってきてしまいました。便利さに囲まれた生活をしているとその変化に気付けないことも多いけれど、それでも、なんだかおかしい。これからどうなってしまうのかな。

さて、そんな不安定な天気の合間。図書館の開館準備をしていると畑でゴトゴト音がする。どうやら畑を耕しているみたい。草を刈って、耕して、ようやく種や苗が植えられる。畑って結構たいへんです。

でも、いつもこの耕運機の音を聞くと、思い出すことがあります。それは、お隣のおじいちゃんのこと。実は、この耕運機、お隣のおじいちゃんから頂いたんです。

シェアハウスをはじめた当初、畑をやりたいと思った当時の住人さん。毎日せっせと鍬で広大な面積を耕していました。当時の畑は、ながらく放置されていたので、畑というよりも荒野。ガチガチに固まった土を一人で鍬で耕している姿を見ていたおじいちゃん。「これ使え」と、譲ってくれたそう。

「もらっちゃった」って、こんな大きな高価なもの、もらっていいのー!?と、そりゃびっくり。お隣のおばあちゃんに聞くと「もう使わないからね。おじいちゃんも体弱っちゃったし。」と、むしろもらってくれ状態。昔広かった畑も小さくなり、お子さんは働きに出ているので畑はやらず、おばあちゃん一人でするにはこの機械は大きすぎて使えないんだとか。倉庫に眠らせておくよりも誰かに使ってもらったほうがいい。なんだか申し訳ない気持ちもあったけれど、ありがたくいただくことにしました。

それからというもの、この耕運機、大活躍! シェアハウスにやってきてはじめて畑に挑戦する住人さんのために、ずいぶんと畑を耕やしてくれました。馬力もあるので早い早い! ガチガチだった畑の土も今ではすっかりふわふわに。(畑は土が大事だって、実際にやってみて知りました)

月日が流れて、私達も管理物件が増えました。「星空スペース」「星空と長屋門の家」、それぞれにある畑も、この耕運機のおかげで、なんとか活用し続けられてます。

古い機械ではあったけれど、まだまだ十分使える。もちろん、途中なおしてもらったりもあったけれど、あのままお隣さんの倉庫に眠らせておいたら、きっと何も生まれなかった。そう思うと、おじいちゃんの一声が、今に続く嬉しいこと、楽しいことが生まれるきっかけになったんだろうな。 

畑づくりという新しい挑戦をする人が生まれたし、畑でできた野菜をみんなでシェアもできた。あれから10年が過ぎて、振り返ってみると積み重なったものは大きい。

お隣のおじいちゃん、実は耕運機を譲ってくれた数年後施設に入り、その後、亡くなりました。おじいちゃんは亡くなってしまったけれど、耕運機は今もまだまだ現役でがんばってくれています。

畑からゴトゴト音がするたびに、私は決まって思い出す。おじいちゃん、ありがとう、と。その気持ちを思い出すたびに、私が受けたおじいちゃんからの恩を誰かに渡していきたいなと思うのです。

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